年末年始に東大阪市の花園ラグビー場で行われる全国高校ラグビー大会。11月5日には、福井県、三重県、大分県、茨城県で各地区大会の決勝戦が行われました。そして高校ラグビーの歴史に、新たな1ページが刻まれました。

福井 合同(若狭東、敦賀工) 22-10 若狭

歴史が動いた舞台は福井大会です。若狭との決勝戦に挑んだ合同チーム(若狭東と敦賀工)は、合同チームとして、高校ラグビー史上初めての花園の全国大会出場を決めました。

今年4月から合同チームでの全国大会出場が容認された高校ラグビー。規定では、部員14人以下のチームが、合同チームを作って出場することが可能とされますが、福井県内ではラグビー部のある学校が3校しかないため、部員3人の敦賀工が、部員22人の若狭東に合流することが「特例」で認められました。

合同チームは開始2分、若狭東のキャプテン、PR若泉裕太選手の力強い突破からのトライで先制。1トライ返された26分にも若泉選手が密集サイドをうまくついてトライして、リードをひろげます。後半にも、確実に加点した合同チームは、粘る若狭を振り切り、22対10で合同チームとして史上初めての、花園出場を決めました。キャプテンの浜野悠人選手をはじめ敦賀工のラグビーへの思いにこたえ、若狭東のほうから「一緒にやろう」と声をかけた合同チーム。頼もしい仲間とともに、聖地に立ちます。

大分 大分東明  61-21 大分舞鶴

5日の決勝戦では、いずれも県内でしのぎを削りあってきたライバルが激突。大分では、全国大会の優勝経験もある名門・大分舞鶴と2年連続出場を狙う大分東明が対戦しました。8年連続の同じ顔合わせとなったこの試合、開始直後1分から試合が動きます。大分東明の1年生ウイング田中勝斗選手が、抜群のアングルでボールを受けるとそのまま走り切って先制トライ、さらに1トライを加えて、12点のリードを奪います。

大分舞鶴も12分、SH日下部基聴選手が、ラックサイドをうまくついてトライ。ゴールも決めて、5点差に詰め寄ります。しかし、大分東明がフィジーからの二人の留学生、イリエサ選手とイオセフォ選手を中心に、パワーで圧倒していきます。前半のうちに3つのトライを加えて33対7。大分舞鶴も気迫のタックルを連発して、懸命に食い下がりますが、大分東明の圧倒的なフィジカルの前に、体力が奪われる展開。後半は、素早くボールを動かす大分東明の攻撃に対応することができず、さらに点差をひろげられてしまいます。後半2つのトライを返しますが反撃もここまで、大分東明が61対21で大分舞鶴を下して、2年連続4回目の全国大会出場を決めました。

茨城 茗渓学園  28-0  清真学園

茨城で行われた茗渓学園と清真学園のライバル対決は、11大会連続出場中の茗渓学園が、強さを見せつけました。ハンドリングスキルの高さと独特のスペース感覚で、高校ラグビー界に旋風を巻き起こしてきた茗渓学園。持ち前のスキルに加えて、FW陣の力強さとディフェンスの固さが光りました。前半11分、高校日本代表候補HO川村航平選手が、モールで押し込んだ後のスペースをついて先制のトライ。20分にも、SH石黒春輝選手がトライ。前半で14点のリードを奪います。茗渓FWの圧力の前に、前半なかなかチャンスがこなかった清真学園も後半、開始早々に茗渓陣のゴールラインに迫ります。しかし、ここは、茗渓学園が固いディフェンスで得点を許しません。

逆に後半16分、茗渓らしい細かなパスワークから、ウイングの川崎仁聖選手がトライ、勝負の流れを決定づけます。茗渓学園は28対0で、ライバル清真学園を無得点に抑えて、12年連続29回目の茨城県大会優勝を決めました。

三重  朝明 35-24 四日市工

三重大会決勝は、12年連続の花園出場を狙う朝明とここ数年、力を伸ばしてきた四日市工の対戦。7年連続の同じ組み合わせとなった決勝戦、先制したのは朝明。前半6分キャプテンのSH山川雄摩選手がトライ、ゴールも決めて7点をリードします、一方の四日市工もすぐさま反撃、9分にPGを決めて、4点差に詰め寄ります。
しかし、チームスローガン「根性と辛抱」を体現して、鍛え上げてきた朝明のFW陣が力を発揮します。この後、前半に2つのトライを追加、後半にも1年生ウイング山本大輝選手が、鮮やかなステップを見せて 40メートル以上を一人で走り切ってトライ。28対3と突き放します。

四日市工はあきらめません。後半20分過ぎから自慢のBK陣のスピードを生かした攻撃で3つのトライを奪いますが反撃もここまで。朝明が35対24で四日市工を退けて、三重県大会史上最多の12連覇を達成、14回目の花園切符を獲得しました。保地直人監督が「猛練習して、花園ではひとつでも多く勝ちたい」と語った朝明、四日市工の思いも背負って、全国に挑みます。

全国高校ラグビー大会。今週は、各地で強豪同士が激突します。

11日(土)には、福島、群馬、全国大会の優勝候補に挙げられる東福岡が筑紫と対戦する福岡大会の決勝が行われます。

12日(日)には、千葉、山梨、静岡、岐阜、滋賀、和歌山、鳥取、香川、高知に加えて、京都、大阪、東京では、全国有数の実力校が激突。京都では、伏見工の流れをくむ京都工学院と京都成章が。大阪第3地区では、ともに複数の全国制覇の経験をもつ、常翔学園と東海大大阪仰星の両雄が。東京第2地区では、オールドファンにはたまらない目黒学院と国学院久我山の伝統校が、全国大会出場をかけて対戦します。

【各地区の決勝戦組み合わせ】

11月11日(土)

福島 学法福島 対 磐城
群馬 明和県央 対 桐生第一
福岡 東福岡 対 筑紫 

11月12日(日)

千葉 流経大柏 対 専大松戸
東京 (第1地区) 早稲田実 対 成城学園
(第2地区) 目黒学院 対 国学院久我山
山梨  日川 対 山梨学院
静岡 東海大静岡翔洋 対 静岡聖光学院
岐阜 関商工 対 岐阜聖徳学園
滋賀 光泉カトリック 対 八幡工
京都 京都成章 対 京都工学院
大阪 (第1地区) 関大北陽 対 大産大附
(第2地区) 大阪桐蔭 対 大阪朝鮮高
(第3地区) 東海大大阪仰星 対 常翔学園
和歌山 近大和歌山 対 和歌山工
鳥取  倉吉東 対 合同(鳥取西、倉吉総合産業、湯梨浜学園、米子東、米子工)
香川  坂出第一 対 高松北
高知  高知中央 対 土佐塾


(MBSスポーツ解説委員 宮前 徳弘)