ドジャースの大谷翔平選手の専属通訳だった水原一平氏をめぐる“違法賭博”問題。日本時間の3月26日、大谷選手が会見を開き、「彼が僕の口座からお金を盗んで、なおかつみんなに嘘ついていた」などと述べました。大谷選手の口座から計6億8000万円を送金したとされる水原氏は、どんな罪に問われる可能性があるのか、国際弁護士の村尾卓哉さんが解説しました。10年以上「大谷番」で、現地で会見を取材したスポニチの柳原直之記者は、「こういう表情や口調の大谷選手を見るのは初めて」と大谷選手の感情面に注目しました。

◎村尾卓哉:国際弁護士 カリフォルニア州ニューヨーク州の弁護士資格を持つ 東町法律事務所所属 事業再生や行政訴訟などを扱う
◎柳原直之:スポーツニッポンMLB担当 大谷翔平選手をプロ入団当時から取材 “大谷番”10年目 兵庫・西宮市出身 銀行マンからスポーツ紙記者に転身

(2024年3月26日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

大谷選手の会見「私としてはポジティブな印象」

――カリフォルニア州の弁護士資格を持つ国際弁護士の村尾卓哉さん。ドジャース大谷翔平選手の会見を見てどんな印象でしたか。

(国際弁護士:村尾卓哉さん) 私としては非常にポジティブな会見だったと思っています。送金行為への関与が一番大きいかな、と思ってところを、ここは明確に、かつ強い言葉で「僕はもちろんスポーツ賭博に関与していない、送金をしていた事実は全くない」と、しっかり否定しました。

 さらに今回の件を初めて認識したのがいつとか、説明の食い違いについても、きちんと説明されていたので、皆さんも、なるほどな、と感じたんじゃないかなと思います。一方で、口座の管理等については語らなかったんですけれども、ここは逆に語らない方が良かった部分だと僕は思っているので、全体としては非常にポジティブな印象を受けています。

大谷選手の感情面は呼び方にも…「『彼』と言ったり、最後は『一平さん』って言ったり」

――――スポーツニッポンのメジャーリーグ担当、『大谷番』の柳原直之さん。会見現場で直接見た、大谷さんの言葉や表情にどんなことを感じましたか。

(スポーツニッポンメジャーリーグ担当:柳原直之記者)数メートル先の壁際に立って私も見ていたんですけれども、大谷選手は、怒りとか悲しみとかショックとかもいろんな感情が入り交じって、言葉に詰まった部分もあったと思うんですけども、僕は大谷選手を担当して11年目になるんですけれど、こういう表情や口調の大谷選手を見るのは初めてで、そこが驚きというか印象に残りました。

水原通訳に対する呼び方も、「信頼していた方」と言ったり「彼」と言ったり、最後は「一平さん」って言ったり、やはり毎日会っていたような方に、本当にそこの感情が最終的には「一平さん」となって、大谷選手にとって水原一平さんがどういう人だったのか、っていうのがにじみ出ていた会見だったと思いました。

水原一平通訳に、適用される可能性のある罪は…

――大谷翔平選手が会見で明らかにしたことをまとめます。
▼大谷選手がギャンブルに関して知ったのは、韓国での第1戦が終わった後である
▼このときまで水原氏のギャンブル依存症や借金について知らなかった
▼水原氏は大谷選手の口座に勝手にアクセスして、ブックメーカーに送金していた
などと話しました。

――大谷選手の口座から6億8000万円送金したとなると、水原一平通訳はどんな罪にあたる可能性があるのか、国際弁護士の村尾さんによりますと、水原氏が大谷選手の口座の管理権限を任せられていた場合と、そうじゃない場合で適用されるものの可能性が変わってくるということです。

(国際弁護士:村尾卓哉さん)お金の管理権限がある場合は、「横領罪:3年以下の懲役または罰金」の可能性、もし管理権限がない場合は「窃盗罪:3年以下の懲役または罰金」の可能性です。基本的には権限があるかどうかというところです。

「州をまたぐ、連邦法に違反」する可能性を指摘

 もう一点付け加えると、これは「カリフォルニア州法」違反の疑いなんですけれど、「連邦法」に違反するパターンもありまして、「電信詐欺罪」って言うんですけど、その場合は懲役20年以下という、3年以下とかいうレベルじゃない重い罪です。しかも僕は、そちらが成立しうる可能性の方が高いのかなと、今日の会見を受けて思いました。

――電信詐欺罪の可能性、これだと懲役20年以下に当てはまるんじゃないかということですか。

(国際弁護士:村尾卓哉さん)例えばチェックに大谷選手のサインを偽装して銀行を騙して送金させた場合とか、要するに州をまたいで、何か通信を行って、その結果詐欺行為をした場合は、州を超えて、連邦っていう枠組みで罰せられることになるんですけども、そうなると結構これは重いです。

水原一平通訳が「お金を管理できた可能性は?」

――お金の管理を水原さんがどこまでできたのか、できなかったのかでいうと、長年大谷選手を取材されているスポニチの柳原さん。大谷選手と水原さんの関係は現場でどういうふうに見えていますか。

(スポーツニッポンメジャーリーグ担当:柳原直之記者)日本ハム時代から私も取材しているんですが、メジャーに行って、本当に365日会わない日はないぐらい会っているとか、大谷選手がリハビリで外に出られないときは買い物も代行したっていうことも聞いています。

 また労使交渉で球団と選手が会えない時期もあったんですけれど、そのときは水原さんが球団をわざわざ辞めて、一般人として大谷選手と接したっていう時期もありました。それぐらい密な関係なので、本当に家族以上と言ってもおかしくないぐらい、家族同等それ以上といってもおかしくないような関係性だと思います。

(お金の管理については)はっきりとしたことはもちろんわからないですし、これだけ大きな金額なので、わからないですけども、ある程度の権限を与えていたとしてもおかしくはないんじゃないかな、というふうには憶測ですけれども思います。

――大谷選手の会見で送金の詳細は語られなかった、村尾先生は「そこは語らなくて良かったんじゃないか」ともおっしゃっていました。

(国際弁護士:村尾卓哉さん)たぶん大谷選手も、ほんまにわからない部分なんだと僕は思っていて、送金のスキームがかなり巧妙であるとか、もしくは例えば、大谷選手の名前の口座を偽装で開設されたら、もうそこは大谷選手もタッチできない部分なので、もしそうなら、そもそも認識すらできない。

 この段階で不確定なことを言って、後の捜査と矛盾していたら「あのときの説明は何やったんや」という話になるので、あえてぼかしたんではないか、と僕は思っていて、そこは弁護士とよく相談して、言えないだろうということで今日の会見の言い回しになったんだと思います。

大谷選手はメジャーの試合に出け続られるのか

――現地での報じられ方、またファンの声については、柳原さんいかがですか。

(スポーツニッポンメジャーリーグ担当:柳原直之記者)大谷選手は今日も試合に出ていましたけれども、ファンの声は特に変わらず、むしろ一番大きい声援を浴びていたぐらいで、特に変わりはないように感じました。

 現地メディアのほうは、やはり大谷選手の言ったことを100%信じるかっていうと、我々日本人の感覚と、アメリカメディアとではちょっと違う。ちょっと送金の部分がクリアになってないよねと、疑問点に挙げていた記者もいますし、「そもそものESPNのインタビューで最初に言った水原さんのインタビューが一番しっくりくる」って言ってる人もいました、捉え方は本当に人によっても様々という感じではありました。

――大谷選手は今後も試合には出続けられそうですか。

(スポーツニッポンメジャーリーグ担当:柳原直之記者)今日も試合に出ていましたし、私の取材でも今後も問題なく出るというふうには聞いています。

――村尾さん、今後の捜査はどう進展していきそうですか。

(国際弁護士:村尾卓哉さん)やはり、会見で明らかにならなかった送金、どうやってお金を取ったのかっていう部分は捜査の一番の焦点になってくるでしょうし、これからの捜査の状況の中で、徐々に明らかになってくる部分だと思います。