裏金疑惑をめぐり12月19日に東京地検特捜部は安倍派の事務所と二階派の事務所に家宅捜索を行いました。二階俊博氏が率いる『志帥会・二階派』とは、どういった派閥なのでしょうか。発足から現在までの歴史を振り返ります。

 自民党をめぐる裏金疑惑で12月19日、東京地検特捜部は安倍派の事務所と二階派の事務所に家宅捜索を行いました。2つの派閥をめぐっては、政治資金パーティー収入の一部が収支報告書に記載されていない疑いがあり、安倍派では過去5年間で総額5億円、二階派でも億単位の額に上るとみられています。
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 その二階派に所属する小泉龍司法務大臣は12月20日、二階派側に退会届を提出して受理されたということです。法務大臣は検察に対する指揮権を持っていることから、小泉大臣の周辺は「調べる側のトップが二階派に残ることで捜査に疑念をもたれてはいけない」と説明しています。
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 二階派『志帥会』とはどういった派閥なのか。志帥会が発足したのは1999年。
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 中曽根康弘元総理が所属する旧渡辺派と、亀井静香元建設大臣らのグループが合併。衆参の計60人が所属する第四の派閥として誕生しました。

 志帥会という名称は、中国の古典「孟子」からの引用で、「思想が確立していれば目標に邁進できる」という意味が込められています。
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 その志帥会が荒れたのが小泉政権の時です。当時、小泉純一郎総理が進めていた郵政民営化法案に、派閥の会長だった亀井氏が反対しました。

 (志帥会 亀井静香会長(当時)2005年)「腐ったニンジンをぶら下げられて、それを食べたら下痢をすることをみんな覚悟していますよ」
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 (小泉純一郎総理(当時)2005年)「これ(郵政民営化法案)を廃案にさせるということは倒閣運動と受け取るのが自然でしょう」

 郵政民営化に反対した派閥メンバーが選挙公認を得られなかった責任を取る形で亀井氏は派閥会長を辞任。
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 その後の志帥会・会長に就任したのが、郵政民営化に賛成の姿勢を示した伊吹文明氏です。

 (志帥会 伊吹文明会長(当時))「この派を一致協力して、他に侮られない派として、みんなで運営してまいりたい」
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 しかし4年後の総選挙で自民党は大敗。志帥会もメンバーの落選が相次ぎ、派閥の勢力は大幅に縮小。そんな志帥会に合流したのが、総選挙で同じように多くの所属議員が落選した二階俊博氏率いる『二階派』でした。

 (志帥会 伊吹文明会長(当時))「二階先生のグループと一緒になれたということは、志帥会にとっても大変ありがたいことです」
 (志帥会 二階俊博会長代行(当時))「可能な限りお互いに協力しあっていこうと」

 2012年に二階氏が会長に就任して、志帥会は二階派と呼ばれるようになります。
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 2016年、安倍政権下で二階氏は自民党幹事長に就任。志帥会は二階氏の下で次々と新たな議員を受け入れていきます。入会した議員にはこんな人もいました。
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 (細野豪志衆院議員)「自民党入りを目指していきたいという思いを持っております」

 旧民主党で環境大臣や政調会長などを務めた細野豪志議員です。二階氏は他党出身者や自民党を離党した議員などを派閥に受け入れて、後に自民党に入党する道筋をつくるなど、来るもの拒まずの姿勢で勢力を拡大していきました。
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 (志帥会 二階俊博会長 2020年)「私ども、この志帥会、ワンチームであります」