大阪府富田林市の集合住宅で当時2歳の小野優陽ちゃんが手足を縛られ、四方が板で囲われたベビーサークルに放置され熱中症で死亡した事件。保護責任者遺棄致死罪などで起訴されている桃田貴徳被告の裁判で、女児の祖母である小野真由美被告の証人尋問が2日にわたり行われ、両被告が事件の2年前からベビーサークルは徐々に改造していたとされる詳細などが明らかになりました。

祖母「後悔と申し訳なさでいっぱい」

21日は弁護側から小野被告への尋問が行われました。

現在の心境について問われると、「後悔と………申し訳なさの気持ちでいっぱいです」「(責任は)私です」とすすり泣きながら答えました。

また、優陽ちゃんの養育は排泄物を自らの体に塗ったり、投げたりするなど“格段に大変なものだった”と主張しました。

そのため、ベビーサークルの周りには物が置けず、まず周りにネットは張ったと説明しました。

小野被告「虫よけのネットをベビーサークルのまわりに付けて」
弁護人「それで事足りましたか?」
小野被告「大きくなるにつれてこちらの想像以上のことをするようになりました。ネットを破っちゃったり」
弁護人「うんちは?」
小野被告「うんちは、ネットのすき間に入るんです。掃除が大変で…」「何でもかんでもベッドの外になげちゃって。服もです。気づいたら裸になって…」

ベビーベッドをベビーサークルに改造…子ども家庭センターがアドバイス

小野被告は、優陽ちゃんの知育発達の遅れを感じ、子ども家庭センターに助言を求めたところ、センター側が“ベビーベッドをベビーサークルに改造して”とアドバイスしたと主張しました。

小野被告「(センターの担当者が)『ベビーベッドをベビーサークル状にしてください』『ベビーサークルに入っている時は安全だから、何か用事がある時は中に入れてください』と」

そして小野被告がベビーベッドの中板を取り外し、事件の鍵となる“ベビーサークル”が生まれます。

優陽ちゃんを緊縛へ「股が開かないよう粘着テープでとめた」

小野被告「(涙ぐみながら)”ダメだよ”という感じで、手をとめちゃいました(縛った)」
弁護人「足のほうは?」
小野被告「(優陽ちゃんは)腰のあたりを床にこすりつけちゃうんです(また涙ぐむ)できることなら、やめさせてあげたかったです。股が開かないように、粘着テープでとめました」

しかし、優陽ちゃんのことを「疎ましい」と思わず、ネグレクト状態ではなかったと話しました。

ベビーサークル改造を男に「『手伝ってほしい』と伝えた」

弁護側からの証人尋問から3日後に行われた検察側からの反対尋問。小野被告はうつむきながら証言台へ歩いていきました。

弁護側の証人尋問の内容を踏まえ、検察側はベビーサークルを改造した過程について改めて問うとー

検察側「改造の必要を桃田被告にも伝えた?」
小野被告「はい。うんちの後始末とかがあるとか(飼っていた)猫がベビーサークルに入ってくるとか色々説明した」
検察側「桃田被告と話し合ったことは?」
小野被告「話し合ったことはない」

しかし、寸法は桃田被告が測り、『衛生面を考え掃除がしやすいようにしてほしい』『手伝ってほしい』と桃田被告に伝えたと話しました。

尋問中に“過呼吸”に…急遽休廷に入る場面も

続いてベビーサークルの蓋を作成したことについて尋問が行われました。

検察側「蓋は2つ折りですね、どういうやりとりがあった?」
小野被告「猫の転落防止と衛生上のために」
検察側「どっちがどういう話をした?」
小野被告「(ゆうはちゃんが)うんちを投げられると困るのでどうにかしたいと私が先にした」
検察側「この話を桃田被告に話したのですね?」
小野被告「・・・・・」
裁判官「どうしましたか?」
小野「当時の取り調べを思い出して・・・・」

検察官が話した内容について整理・確認しようとしたところ、小野被告は過呼吸のような状態となり、裁判長が約20分休廷となる場面もありました。

その後、尋問が再開され、桃田被告がベビーサークルの材料を購入したことなどを小さな声で話しました。

死亡2日前にUSJへ外泊…きっかけは息子をめぐるケンカ

また優陽ちゃんが亡くなる2日前、小野被告と桃田被告と五男(2人に実子、当時5歳)はUSJに外泊しています。

そのきっかけとなった22日の桃田被告との息子をめぐるケンカについて語りました。

検察官「桃田被告は五男に『ママと残るのかどちら選ぶのか』と聞き(ケンカの)結論はどういった流れですか?」
小野被告「五男は泣きじゃくっていました。息子はママと残ると言ったので桃田さんは(別の)家へ行きました」

そして、2人がケンカをした翌日、優陽ちゃんが置きざりにされたUSJの外泊に至った経緯が語られます。

検察官「(小野被告の息子の四男から)五男の元気がないという話しを聞かされたのですね?」
小野被告「笑わなくなったと聞きました」
検察官「それでどう考えたのですか?」
小野被告「(五男を)楽しませてあげたいなって」「(五男に)『何したい?』って聞くと『3人で一緒にいたい』って」
検察官「それでこの外泊を思いついたのですか?」
小野被告「私の認識ではそうです」

小野被告が証言している間、桃田被告は表情を変えずメモを取りながら淡々と話しを聞いている様子でした。

争点である桃田被告の保護責任者かどうかの可否などを小野被告の証言を踏まえてどのように判断するかが注目されます。