2022年6月に大阪府富田林市内の集合住宅で小野優陽ちゃん(当時2)の祖母と共謀の上、優陽ちゃん粘着テープで縛り熱中症で死亡させた罪に問われている男。事件から1年半を経て始まった裁判員裁判の男の被告人質問では、「申し訳ないことをした」と反省の言葉を述べる一方、“テープで縛るという発案は「祖母で、積極的に意見したことはない」と落ち着いた声で話し共謀を否定しました。

事件は去年6月、優陽ちゃんの祖母・小野真由美被告(47)と同居していた桃田貴徳被告(52)が、両手足を縛った状態で四方に板を張ったベビーサークル内に閉じ込め熱中症で死亡させたとして逮捕監禁罪と保護責任者遺棄致死の罪に問われています。

小野被告、桃田被告、2人の実子(当時5)の3人は、優陽ちゃんが死亡する2日前からユニバーサル・スタジオ・ジャパンに泊まりがけで行っていたとされています。

争点は「男が養育者か否か」被告「養育していた感覚はない」

11月16日に大阪地裁堺支部で開かれた初公判で桃田被告は、「縛っていないし、ベビーサークルにも入れていない。優陽ちゃんを養育していた感覚はない」として起訴内容も否認しています。

主な争点は、桃田被告が「養育者に当たるかどうか」。

検察側は冒頭陳述で「手がかかる優陽ちゃんを疎ましく思い、外出時は縛ってベビーサークルに入れるようになった」と指摘した上で小野被告と桃田被告は「内縁関係」にあったとしています。

一方、弁護側は、優陽ちゃんが死亡する数日前に内縁関係は解消され同居もしていなかったと主張し養育者としての立場を否定しています。

後悔ともとれる被告「申し訳ないことをした。積極的に養育にかかわっていれば」

24日の被告人質問では、弁護人から現在の心境を問われると落ち着いた声でこう話した。

桃田被告「事件で優陽に申し訳ないことをしたと反省しています。
積極的に養育に関わっていればと反省しています。真由美さん(小野被告)が助けを求めにくい空気を作っていた。真由美さんを追い込んでしまった」

拘置所で約1年と4カ月で過ごした桃田被告。冒頭、優陽ちゃんが亡くなったことについて反省を述べた。

弁護側「だれの責任だと思いますか?」
桃田被告「真由美さんだけではない。私も含め全員です」
弁護側「この裁判で何を示しますか」
桃田被告「法律上の責任者は何かはわからないが、(裁判所には)公平に判断してほしい」

「優陽ちゃんを預かることは相談なくほぼ決まった状態」

小野被告の息子である父親から頼まれて優陽ちゃんを引き取り暮らしていた両被告。

しかし、養育には積極的に関われなかったと証言しました。

弁護側「小野被告から優陽ちゃんを預かることについて相談は?」
桃田被告「相談ではなくほぼ決まった状態で、報告のような感じで聞きました」
弁護側「引き取ることについてどういう気持ちでしたか?」
桃田被告「いい気持ちはしなかったです」

優陽ちゃんをお風呂に入れると父親が『舌打ち』

父親から、お風呂やオムツを換えるなどの世話をすると「拒否反応」があり、ここから積極的に育児に関わらなかったと話した。

桃田被告「(優陽ちゃんを)お風呂をいれてるところを父親が家来た時に見たみたいで、『(小野被告から)父親は焼きもちやきで(優陽ちゃんの)裸を見られるのは嫌みたい、だから我慢して』と言われた」「(父親から)お風呂入れてる時に舌打ちをされた」

さらに弁護側はー
弁護側「積極的にかかわらなかったことについてどう思いますか?」
桃田被告「めったに家に来ない父親のために真由美さんにストレスをかけすぎた」
弁護側「父親が嫌がってるのはそれほど大きかった?」
桃田被告「自分の子ではないし他人の子の孫となると育児経験のある真由美さんも気を使っていた」

「家の鍵を返却」内縁関係解消と主張

優陽ちゃんは去年6月27日~29日まで自宅のベビーサークルで置き去りになっていたとされているが、6月22日に「家の鍵を返却した。小野被告に預けていたキャッシュカードも返してもらった」と話し、「家に戻る気はないと思った」という気持ちは、過去にケンカはしたがこの日が初めてだったという。

桃田被告“粘着テープ“で縛ることに「やりすぎかなと」

これまでの裁判で、優陽ちゃんの世話で”手がかかる”ことから粘着テープで縛ったことを小野被告は証言している。

これについて桃田被告はー
弁護側「粘着テープを使うことの発案者は?」
桃田被告「真由美さんです」
弁護側「これについて積極的に意見を述べたことは?」
桃田被告「ないです」
弁護側「粘着テープで縛ったことがありますか?」
桃田被告「あります」
弁護側「自発的ですか?」
桃田被告「真由美さんに頼まれて」
弁護側「何回くらい?」
桃田被告「1、2回くらい」
弁護側「うまくできた?」
桃田被告「できなかったです。
外れてしまって」
弁護側「失敗に終わった?」
桃田被告「そうです」

そして、縛ったことについては「やり過ぎかなと思っていました」と話した上で「それ以外に方法を考えることができなかった」と述べた。
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被告人質問で桃田被告は、言葉をあまり詰まらせることなく、質問にはよどみなく答えていた様子でした。内縁関係解消の詳細などを話し、改めて養育者としての立場ではなかったと主張、小野被告との共謀性を否定しました。

引き続き、来週27日にも被告人質問が行われる予定で29日に結審されます。