コロナ禍が明けて訪日外国人でにぎわう関西空港。空港に降り立った多くの観光客が足を運ぶ南海電鉄の切符売り場。難波行きの特急券などを販売していて、利用客の９割が外国人です。どこから来たどんな人がどんな目的で関西を訪れるのでしょうか？切符売り場の一日を定点観測しました。
早朝の飛行便で到着した女性の行き先は？
午前５時１５分、早朝の関西空港駅。南海電鉄の切符売り場は始発電車の時間に合わせて開店します。
飛行機の早朝便で到着した女性がやってきました。
（職員）「自由席ですか？指定席ですか？」
（女性）「指定席で」
（職員）「この価格になります。１人分ですか？」
（女性）「はい」
（女性）「マレーシアから来ました。新今宮駅へのチケットを買いました。私のホテルが近いんです。新今宮からいろいろな駅に行ける。空港から南海電鉄で行けるし、新今宮から奈良にも行ける」
実は今、価格の安さとアクセスの良さから新今宮のホテルを選ぶ外国人が増えているそう。お得に旅を楽しんでくださいね！
目的は“食べまくる”！高級寿司に松阪牛に…
大きな荷物を運ぶフィリピンから来た夫婦。
（フィリピンから来た人）「（Ｑ何のチケットを買った？）関西空港から難波行きの…読めない！」
今回の目的は何といっても食べまくること。
（フィリピンから来た人）「とても良い寿司店でディナーを食べる予定だよ。すごく評価が高くて。良いレストランで食べたいと思って、今夜のために１か月以上前から予約したんだ」
（フィリピンから来た人）「今夜のためにね」
後日聞くと、１人平均２万円の高級寿司や松阪牛で有名なレストランなど、３泊４日で食べ物に使った額はなんと約１５万円！円安の影響で贅沢な旅行ができたと話していました。
カウンターにはこんな人もやってきます。
（女性）「そこがどこかわかりません」
オーストラリアから来たという女性、飛行機の乗り場がわからず、迷っているうちに空港からここにたどり着いたそう。
（女性）「大阪からソウル…」
（職員）「チェジュ（航空）は第２ターミナルちゃうか？」
（職員）「調べます。ソウル、９時５０分。第２ターミナルですね」
（女性）「第２ターミナル、わかりました」
女性が利用するチェジュ航空はインバウンド客の回復で今年４月から出発ターミナルが変更になっていました。
（女性）「助けてもらいました。飛行機のことだけど。（Ｑ行き先はわかった？）はい。そっち（第１ターミナル）じゃなくてそっち（第２ターミナル）です」
職員の丁寧な対応で無事、飛行機に乗れました。
「給料がちょっと少ない」嘆く男性が日本で手に入れたのは…？
午前９時。利用客が増える時間帯を前に、レーンを長くして準備します。
難波行きの切符を買った中国から来たという男性に話を聞きました。
（中国から来た人）「ある学会に招待されて来たんです。中国で経済の学校の先生をしているんだ。（Ｑ仕事はどう？）順調だけど給料がちょっと少ないんだ」
立命館大学で開催された学会は無事成功。
ところで男性は日本でとっておきのアイテムを手に入れたようです。それは「招き猫」。
（中国から来た人）「これ手を動かせるんだ。お金を招くんだよ！これを自分の机に置いたら幸運が来る気がするよ」
給料がちょっと少ないと嘆いていた男性、招き猫が幸運を運びますように。
「韓国では日本旅行がトレンド」切符売り場の利用客は４割が韓国人
午前１１時。韓国便の到着が相次ぐ時間帯。南海電鉄の切符売り場では利用客の４割が韓国人です。
韓国から来た大学生のグループ。
【話し合う様子】
「きょうのスケジュールは難波から…」
「じゃあ難波に行こうか」
（韓国から来た人）「韓国では最近、日本に旅行に行くのがトレンドなんです。僕はコロナ前に大阪に来て、とてもいい思い出があって戻ってきたよ」
（韓国から来た人）「私は京都に行きたい。二年坂」
５年前から計画…姉妹で１か月かけて日本各地を巡る
大きなリュックを背負った女性たち。２人はフランスから来た姉妹です。
（フランスから来た人）「５年前からこの旅行を企画していて。私たちは日本が大好きで、ずっと姉妹で来たかったから、今来られてとてもうれしい」
５年越しに叶えた日本旅行。行きたいところがいっぱいあるようです。
（フランスから来た人）「大阪、京都、奈良、広島、三原（広島）、金沢、高山（岐阜）、日光（栃木）、富士吉田（山梨）、東京！」
旅行期間は１か月！毎日約３万歩も歩いて日本を縦断しているということです。
アニメ文化を満喫したい！券売機の使い方までびっしりまとめた「旅のしおり」
午後３時。何やら困っている様子の人がいました。
（オーストラリアから来た人）「予約していた難波特急券を発券しようとしているんです。（記者：あっちの切符売り場で買えますよ）ありがとうございます！」
隣にあるＪＲのカウンターと迷っていたみたいです。
（オーストラリアから来た人）「（Ｑ手に持っているファイルは何？）計画するのが大好きだから、旅行中の予定をすべて書いているんだ！」
手作りの「旅のしおり」には時間ごとの予定がびっしり！さらに券売機の使い方は写真付きでまとめられています。
日本のアニメが大好きだといい、アニメ「黒執事」のコスプレも高い完成度です。
（オーストラリアから来た人）「アニメ『黒執事』のカフェにも行くんだ。それが本当に楽しみで。ポケモンカフェにも行くし、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンにも行くんだ」
念願だったポケモンカフェに、「黒執事」カフェ。日本のアニメ文化を満喫した旅になったようです。
「オンラインで日本語を教えてくれた先生」と初めて対面へ
利用客数のピークを過ぎて出会ったのは、出張と休暇を兼ねてアイルランドから来た男性。
（アイルランドから来た人）「面白い町でぶらぶらして探検したい。地元民と少しだけしゃべりたいんです」
日本語が堪能な男性、会いたい人がいるようです。
（アイルランドから来た人）「５年くらい日本語を趣味で勉強していて、オンラインで日本語の母語話者が教えてくれる授業を受けて。毎週末、話していた先生と初めて会えます、金沢で」
コロナが明けてやっと会える先生と、素敵な時間を過ごしてください。
沖縄から初めて関西に来たというアメリカ人の家族。子どもは長男・長女・次女・三女の４人です。
（親）「（Ｑたくさんの子どもと旅行するのは？）ストレスが多くておかしくなりそう。やることも多いし。けれどもちろん幸せよ」
（次女）「『のりの三角のもの』が食べたいの。のりのおにぎり」
（親）「（Ｑ今夜の予定は？）もうホテルに行って寝るわ。明日のためにね」
翌日からは旦那さんと合流してユニバーサル・スタジオ・ジャパンに行くそうですよ。
午後１１時３０分。最後のお客さんを送って長い切符売り場の一日が終わります。明日はどんな人が訪れるのでしょうか。