にぎわいが戻りつつある京都・嵐山。しかし、同時に問題視されているのが「観光客のゴミ問題」です。そんな中、この問題の解決に向けて“スマートなゴミ箱”が設置されました。ゴミ問題に悩む商店街の会長も期待を寄せています。

路上で目に付く「ポイ捨てされたゴミ」 その背景には…

 3連休最終日となった9月18日(月)の京都・嵐山。飲食店などが並ぶ商店街では、食べ歩きをしながら観光する人の姿が多く見られました。しかし、その傍らでは…

 (記者リポート)「飲みかけの飲み物ですかね、ゴミがそのまま置かれてしまっています」
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 中身が空のペットボトルなどポイ捨てされたゴミが目につきます。国内・海外からの観光客が戻ってくるにつれて「ゴミの問題」が再び地元の悩みのタネとなっているのです。観光客のマナーもさることながら、背景にあるのが…

 (嵐山商店街 石川恵介会長)「公共のゴミ箱がこの通りには1つもないんですよ。京都市の清掃局も1日に何度も回収に来られないと、予算も限られている中で」
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 商店街エリアにはもともと公共のゴミ箱が4つ設置されていました。しかし、人混みでパッカー車が入れず、ゴミ箱があふれていても回収が追い付かないことなどから、景観が損なわれるとして4年前に撤去されたのです。

 商店街では各店舗にゴミ箱を設置してもらうことも考えたそうですが…

 (嵐山商店街 石川恵介会長)「ゴミ箱を置きだすとそこばかりいっぱいになって、回収する手間とコストを(ゴミ箱がある)その店ばかり負担する。不平等や不公平になってしまうので、公共のゴミ箱があるのは理想だと思っています」
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 そうした中、商店街の大通りから約100mの場所にある「竹林の小径」に設置された、その名も「スマートゴミ箱」。周辺のゴミ問題解決に向けた大きな期待が寄せられています。
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 スマートゴミ箱は滋賀県大津市の廃棄物処理業者が京都市に寄付したもので、最大の特徴は、中に溜まったゴミを約5分の1にまで圧縮する機能です。

 この場所には公共のゴミ箱もあり、そちらは一杯になっている一方で、スマートゴミ箱は観光客が次々とゴミを捨ててもあふれそうにはありません。ゴミを捨てた観光客は…

 (観光客)「普通のゴミ箱だったらあふれて汚く見えると思うんですけど、これならいいなと。(あふれないなら)気持ちよく捨てやすい」
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 商店街の会長も大きな期待を寄せています。

 (嵐山商店街 石川恵介会長)「1日1回の回収でも(これまでの)5~6回回収したのと同じ効果があるはずなので。ゴミ問題解決に向けたスタートになるのではと思っています」

市バス内で問題になっている「大型手荷物」…市は“手ぶら観光”を呼びかけ

 人が集まりすぎて起こる「オーバーツーリズム」の問題はゴミだけではありません。

 9月、京都市営交通のホームページではこんな呼びかけが…

 (京都市営交通のHPより)「どうする、手荷物」
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 市民の足である市バスでいま問題になっているのが、観光客の大きな手荷物。ベビーカーや車いすの利用者らに影響が出ているというのです。京都市民に話を聞くと…

 「すごく大きいスーツケースで乗ってくるので、降りるのに苦労した経験がある」
 「にぎわうのはいいけれども、生活する面では大混雑なバスに乗りたいとは誰も思わないと思う」
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 そこで市は、荷物の預かりサービスを利用して「手ぶら観光」をしてほしいと呼びかけています。京都タワーの中にある観光案内所に話を聞きました。

 (関西ツーリストインフォメーションセンター京都 鯉谷洋係長)「手荷物を預けたついでに観光案内をさせていただくとか。『荷物のことで困っている』という相談を受けた際には、『うちで手荷物も預かっています』ということでやらせていただく場合もあります」

 料金は一時預かりが600円。また、午前中に預ければ1000円で夕方に滞在先のホテルに届けてくれるサービスもあります。
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 あらゆる方法で「手ぶら観光」の観光客を増やしていきたい京都市。ただ、旅行者にはまだまだ知られていないようです。

 (オーストラリアから来た観光客)「(Q京都の荷物預かりサービスは知っている?)聞いたことない。何それ?(Q知っていたら使いたかった?)うん、使うか考えるよ」
 (アメリカから来た観光客)「(Qサービスを使いたいと思う?)知っていたら使いたかったね。たくさんのスーツケースを持っていたから。すごくいいアイデアだと思うよ」

 秋の行楽シーズンに向けて、粘り強い取り組みが必要になりそうです。