京都・東映太秦映画村にある「史上最恐のお化け屋敷・呪われの人形」。時代劇や映画も手がけるプロが生み出すセットに、東映の俳優が演じる「お化け」。まさに本格派のお化け屋敷です。子どもも大人も大絶叫する最恐のお化け屋敷を定点観測しました。

「最恐お化け屋敷」の新人お化け

 午前7時30分、開園前の映画村にやってきたひとりの女性。

 「おはようございます」

 江島千智さん(21)。時代劇俳優を目指して、去年、佐賀県から京都にやって来ました。そんな江島さんが去年から演じているのがお化け役です。
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 お化け屋敷に入ると、準備万端整った先輩俳優・吉村泉さんの姿がありました。すっかり役に入り込んでいました。

 (江島さん)「(Q吉村さんはどんな先輩?)声だけでもすごくて、お客さんの驚いている声もすごくて、私もこうなれたらなと思って」
 (吉村さん)「(Q感想を聞いてどうですか?)…。(正座のままお辞儀する)」
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 メイクをするのも演技のうち。江島さんは手慣れた様子でお化けの顔に仕上げていきます。

 「顔も真っ白にしたくて、黒とか赤、血とか影とかをつけて怖くできたらなと思っています」

お化け屋敷内に響き渡る大絶叫

 午前9時、営業開始です。

 「日本最恐のお化け屋敷、よろしくお願いします!頑張って怖がらせましょう!!」
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 江島さんもさっそくお化けのポジションにつきます。

 「お客さんに『お人形かな』って思っていただいて、そこで『うわっ』と驚かせる。最後まで意識を集中しながら頑張りたいと思います」
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 映画村のオープンとともにやってきた1組の親子。

 (子ども)「(Qお化け屋敷は好き?)ううん」
  (母親)「1回は行こうって、せっかくフリーパス付きの買ったから…」

 アトラクション制覇の1発目はお化け屋敷だと意気揚々やってきましたが…断固拒否…。お母さん1人でお化け屋敷に入って、その間は番組スタッフとお留守番。

  (子ども)「黄色の石見つけた!」
 (スタッフ)「めっちゃ元気やん。お化けは好き?」
  (子ども)「怖い話を聞くのは好きやけどさー、お化け屋敷は好きじゃない」

 そしてお母さん、無事に帰還しました。

 (子ども)「どんなんだった?」
  (母親)「まぁまぁそれなりに怖かった。行かん方がよかったかも…」

 この後は2人でたくさん楽しい思い出をつくってね。
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 広島県から幼馴染たちと来た3人組の女の子たち。苦手なお化け屋敷に挑戦するということで、是非その表情をおさめてもらうため、カメラを渡してみました。
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 「待って怖い怖い怖い」
 「人がおる…人がおる…人がおるって。急に動く…」
 「キャーーーー!!」

 三人寄れば文殊の知恵?苦手なことに挑戦したいい思い出になったかな?

先輩お化けからアドバイス『小さな声から大きな声に…』

 そのころ、お化け役の江島さんは、順調にお客さんを怖がらせていました。

 (江島さん)「ぅうわぁーーー!」
  (子ども)「おいやめろ!うわぁー!!」
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 一方で憧れの先輩お化けの吉村さんはひと味もふた味も違います。

 (吉村さん)「ぅぅうあぁぁぁー!!」
    (客)「ギャーーーーー!!!」

 (吉村さん)「後ろから追われる怖さ。私は声の中では小さな声から大きな声にクレッシェンドをかけるイメージでやっています。ぅうわあああー!…というのもありかな。参考にしてください」
 (江島さん)「次やってみよう!」
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 正午、忍者ポーズを決める兄弟。夏休みの思い出にお化け屋敷に挑戦。ところが、入る直前で怖くなってしまったのか、忍者さながらに物陰に隠れてしまいました。覚悟を決めて、いざ本丸へ!
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 (お化け役)「ぅぅわあーーー!」
  (男の子)「ギャーーーーーーーー!!!!」
  (男の子)「うわーーーーー出られたー!」

 「初めて人に驚かされるやつできた。(Q入った時と同じテンションでポーズできる?)はい、はっ!」

昼休憩…お化けのまま英語を勉強する江島さん『大学でテストがあるので』

 一方、お化けたちも昼休みに。お化けのかっこうのまま昼食をいただきます。
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 江島さん、休憩時間に何かを読み込んでいました。台本かと思うと…英語のテキストです。

 「明日、大学で英語のテストがあるので、今のうちに勉強しておこうと思って」

 実は江島さんは京都の大学に通う現役の大学3年生でもあります。俳優を目指す傍ら、小学校教諭の免許取得を目指して猛勉強中です。

家族連れも、外国人旅行客も、小学校の先生も…驚かせまくる!

 午後2時、岐阜県からきた家族。両親のお化け屋敷体験を待っていた子どもたちですが…。

  (娘)「行ってみたい気がする」
 (父親)「行こう!」

 ところが、初体験の娘を気遣ってか、経験者のお父さんが思わぬ行動に…。
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 (父親)「ガタガタってくる。それで、これは人だから。通り過ぎるときに『わーっ』て来るけど触ってきません」
  (娘)「はい」
 (父親)「これは人だから。人です。わーってくるけど…あれ?」

  (娘)「(Qパパはどんな感じだった?)めっちゃ教えてくれた。ここはここで、ここは全部人形で人はいませんみたいな」
 (母親)「それは怖くないわ…」

 次回は是非、副音声なしでお楽しみください。
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 お化け屋敷に訪れる人の中には外国人旅行客の姿もありました。フランス・ブルターニュ地方から来た家族。京都は結婚直前に夫婦で訪れた思い出の場所だといいます。

 (妻)「すばらしかった。15年ぶりで、(家族の)歴史というか。いろいろあったなみたいな。楽しいし感慨深いし懐かしいし」
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 午後3時すぎ、京都市はこの日、近畿で最も暑い38.0℃を観測。そこへやってきたのは名古屋市内の小学校の先生たちです。

 「修学旅行の下見で来ました!」

 児童にお化け屋敷から学んでほしいことがあるそうです。

 「どんなことにも立ち向かう勇気、後ろに下がらない、前向きにチャレンジ、これですよね。(Q先生も中では前進あるのみ?)もちろんですよ。もう一歩も引かないです」
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 そしてお化け屋敷の中へ…

 「歌を歌おう…カエルの歌が…あーーー!!」
 「後ろ後ろ後ろ!」
 「あとどんくらいですか?もうちょっとじゃない?」

 前向き…のはずが、先生たち、下を向いたままですよ。

 「(Q子どもたちに大丈夫だよと言える?)うーん…ゴールはある。道は続いている」
 「みんなも仲間大事にいこうぜって」

営業終了…江島さん『頑張りました。けど課題もあります』

 午後5時、この日の営業が終了しました。江島千智さんらお化けたちも人間に戻る時間です。

 「お疲れさまでした。頑張りました今日も。1日で皆さん全員を驚かせたり泣かせたりは私は今のところないので、毎回毎回課題があります」

 入る前よりどこかちょびっとだけ成長するお化け屋敷での体験は、忘れられない夏の思い出になったようです。