約20年ぶりの「新紙幣」の発行準備が進む中で「ピン札」の確保が難しくなっています。実は現在の紙幣の製造は2022年9月に終了してしまっているのです。

 次々と印刷されていくのは「渋沢栄一」の肖像がデザインされた新しい1万円札。紙幣が刷新されるのは約20年ぶりです。6月28日、新紙幣を製造している国立印刷局の東京工場を視察した鈴木俊一財務大臣は、視察後の会見で次のように話しました。
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 (鈴木俊一財務大臣 6月28日)
 「各工程において順調に準備が進んでいることを実感しました。発行開始の時期を2024年7月前半をめどとしたいと考えております」

 政府は2024年3月末までに新たな紙幣を計45億3000万枚印刷する計画です。
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 新紙幣の準備が順調に進む一方で、ある現象が起きていました。大阪・淀屋橋の銀行に開店直後から利用者が絶えずやってきていたのは、紙幣の新券いわゆる「ピン札」を入手するための新券両替機です。そこには「新券の取り扱いは6月から当日分がなくなり次第終了」との案内が掲げられていました。
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 (三菱UFJ銀行大阪営業部 鵜澤昌子さん)
 「新しいお札に切り替わるということで、それまでの間の新券の割り当てが去年よりも少ない枠になっているにもかかわらず、今までみたいに普通に両替していると、たぶん今年の後半は新券が全然無くなってしまうという状況になるということで。1日ずつの制限の枠を決めて運用しています」
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 実は新しい紙幣の発行に伴い、現在の紙幣の製造は2022年9月に終了。現紙幣のピン札は日ごとに減っているのです。

 「三菱UFJ銀行大阪営業部」では、特に千円札を求める人が多いため、1人1日につき10枚までに制限しているといいます。

 (両替に来た人)
 「幹事をすることが多いので両替してくれと言われることが多いんですけど。千円札を100枚両替したかったんですけど、それができなくて10枚しかできないということで、また違うところに行かないといけないなと」
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 このピン札不足は20年前にも起きていました。

 (記者リポート 2004年)
 「新しいお札に採用された肖像の人物はいずれも関西にゆかりのある人ではありませんが、1万円札の裏側には宇治の平等院にある鳳凰像が描かれています」

 2004年、現在の紙幣が新たに発行される前にも、当時流通していた紙幣のピン札が不足。この時もそれぞれの銀行窓口で枚数制限が行われました。
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 夜の街・北新地。ピン札は北新地のクラブには欠かせないもの。お客さまへの感謝と気持ちよく帰ってもらいたいとの思いから、この店では現金での会計の時に渡すお釣りは全てピン札です。
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 (北新地のクラブママ 茜さん)
 「(Q普段からお釣りはピン札?)いつもそうしております。それがサービスの一環だと思っております。ただ最近なかなか新札が手に入らないのでとても困っております」
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 お釣りのピン札確保のため、少なくとも1週間に一度は朝から両替に行かなくてはいけませんが…。

 (北新地のクラブママ 茜さん)
 「ダメでした…。ATMで先に新券(ピン札)を出してくれるみたいなんですけど、もう今行った時点で無くて」

 その後もピン札を求めて自転車でひたすら銀行をめぐり、何とか千円札100枚・五千円札10枚を確保できましたが…。

 (北新地のクラブママ 茜さん)
 「1週間持つかどうかなんで、また両替に来ようと思います。なかなか大変ですね」

 ひと苦労のピン札確保。今後ますます熾烈になっていくかもしれません。