「皿洗い30分でラーメン無料」。“ある店”に刺激を受けて自分の店でもサービスを始めた店主を取材しました。

 京都市上京区にある汁なし担々麺の専門店「ラアノウミ」。ほどよい辛みと芳醇なゴマの香りが食欲をそそる一品「ラアノウミ」が看板メニューの人気店です。

 実はこの店、あるサービスで学生たちの間ではちょっと知られた存在なのですが、店先の張り紙を見てみると…。

 【店の張り紙より】
 「『30分のお皿洗い』で『ラアノウミ』+『ライス』+『温玉orネギ』を提供しております」

 なんと皿洗いを30分すればラーメン1杯とライスが無料になるのです。

 (ラアノウミ・店主 木元厚仁さん)
 「困っている学生さん、仕送りがないとか勉強が大変でバイトになかなか入れないとか。恩返しみたいな形でできればいいなと」

 木元さんは3年前に店をオープンしましたが、新型コロナウイルスの影響をモロに受け赤字続きでした。行動制限の緩和後、足を運んでくれた学生たちに何か恩返しを、と考えて「皿洗いサービス」を始めたのですが、きっかけは“ある店”でした。

 (ラアノウミ・店主 木元厚仁さん)
 「元々は王将の方が全く同じようなサービスをしているのを知っていたんですけども、ちょっと待って、自分も店やってるので同じようなことはうちもできるんじゃないかと」

 木元さんが刺激を受けたのは同じ京都で餃子店を営む井上定博さん。「餃子の王将」の店長だった約40年前から『皿洗いで食事無料』を始め、リタイア後の今年3月に始めた新しい店「いのうえの餃子」でもそのポリシーを貫いています。

 (いのうえの餃子・店主 井上定博さん)
 「腹が減って寒いのは絶対明日につながらない。寒くてもここにきておっさんにタダで山盛り食わせてもらったら、明日もやろうかという気分になるねん」

 取材した日、木元さんの店に地元・同志社大学の学生がやってきました。さっそく店の厨房へ。オリジナルTシャツに着替えて皿洗い開始です。何回もこのサービスを利用しているとあって、慣れた身のこなしです。

 (同志社大学3年生)
 「ゼミに関わる時間が多くなってきて、それでバイトに入れなくなってお金なくなってきて外食を控えているというのが現状で。そういう時にこの店のツイートを見て『うわー』って思って」

 そして30分の皿洗いを終えると、いよいよお待ちかねの一杯が。

 (同志社大学3年生)
 「めちゃめちゃおいしいです」

 働いた後のラーメンはやはり格別です。

 (ラアノウミ・店主 木元厚仁さん)
 「うれしいですね。もっと広まって、来てくれる方が増えたらいいなと思います」